城南コベッツ南流山教室

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2023.11.23

10月7日、イスラム組織ハマスが、イスラエルへ大規模な攻撃を行いました。これに対して、イスラエル側はパレスチナのガザ地区へ徹底した空爆を実施しています。さらに、ハマスもイスラエルに対し、ロケット弾を応射。双方の攻撃は民間人も巻き込んで、多数の死傷者を生んでいます。

 1948年。イスラエルという新しい国家が、パレスチナの地に建国されました。その結果、元々パレスチナに住んでいた人々は、無理に追い立てられて、ヨルダン川西岸やガザ地区に住むことを余儀なくされてしまいました。パレスチナ側には、武力でイスラエルに抵抗するイスラム系武装組織も生まれます。イスラエルはそういった武装組織に軍隊でもって対抗。この争いは今日に至るまで収まりを見せていません。これが、いわゆるパレスチナ問題です。

 こうまとめると、イスラエルが強引に建国したことが原因であり、速やかにパレスチナの地を出れば、解決しそうに見えますが、この問題の根は、それが何千年にも続くしがらみのせいで、困難である、というところにあります。

 ここでは、そのパレスチナ問題の根がどういうものか、少し書いていこうと思います。

 元々、といっても何千年もまえの話です。現在のパレスチナは、「カナンの地」と呼ばれ、イスラエルのほとんどを構成するユダヤ人の祖先が暮らしていたといいます。どこでいわれているか。世界一のベストセラーである聖書、その旧約聖書の中で、いわれていることなのです。今回のタイトルである「密あふるる約束の地」というのは、旧約聖書におけるカナンの地の描写に登場する言い回しです。現在の紛争の話なのに、発端は旧約聖書。このパレスチナ問題の根がとんでもなく深いということこれだけでも感じられるのではないでしょうか。

 古代、このカナンの地で暮らしていた人々を、「ヘブライ人」といいます。

 その後、ヘブライ人たちは飢饉から、一時古代エジプトに集団移住を行い、エジプトで奴隷とされてしまいますが、指導者モーセの導き(例の、海をばっくり割るやつですね)によって、再びカナンの地にたどり着き、定住していきます。

 やがてカナンの地にはイスラエル王国が建国されます。そしてまた聖書の有名人であるダビデ、ソロモン王の統治を経て、王国は北のイスラエル、南のユダに分かれます。

 この2つの王国は共に、バビロニアやエジプトなどに敗れ、滅亡していきます。先にイスラエル王国が滅び、ユダ王国は、バビロンへ捕囚されることになります。(いわゆるバビロン捕囚です。)こうして、この捕囚されたヘブライ人はユダヤ人と呼ばれるようになります。

 こうして故郷を失ったユダヤ人は、ペルシア、マケドニア、ローマ、そしてヨーロッパ全土へと、時代の波に翻弄されるように流浪してゆきます。

 中世ヨーロッパのキリスト教社会では、ユダヤ人は「キリスト殺し」の罪を背負うとされ(イエスもユダヤ人ですが)、迫害を受け続けます。土地を持たず、商工業ギルドにも入れないユダヤ人にできた仕事は、いわゆる"闇金"の類しかなかったといいます。

 イギリスの文豪、シェイクスピアも、「ヴェニスの商人」という作品で、ユダヤ人高利貸しのシャイロックというキャラクターを登場させています。

 この何百年に及ぶユダヤ人差別は収まるどころか、近代にいたるまで延々と続き、ついには、ナチスドイツによる、ホロコースト(大量虐殺)へと発展してしまうのです。

 何千年も、居場所がなく、迫害され続けてきた民族、ユダヤ人。彼らが1948年に、「密あふるる約束の地」に建国したのが、イスラエルなのです。

 もちろん、これはユダヤ人側から見たイスラエル建国までのお話す。迫害されていたから、数千年前に住んでいたからといって、パレスチナに住んでいた人から無理矢理土地を奪っていいわけではありません。しかし、パレスチナ問題の根は、このようにヨーロッパ全土を巻き込んで、何千年も遡る必要のある、深刻な問題である。ということが少しお伝えできれば、と思っています。

また、パレスチナ問題を語る上では、当然パレスチナ=アラブ側にも、スポットライトを当てる必要がありますが、非常に長くなることが確実ですので、ここには書かないでおきます。興味を持たれた方は、是非調べてみてください。

 しかし、聖書に「密あふるる約束の地」と書かれた場所が、今日でも戦火にさらされており、死者を出してしまっている事実は、なんというか、やりきれない思いがありますね。