城南コベッツ都賀駅前教室

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都賀駅前教室のお知らせ

(数学編)2022年4月からの高校における新学習指導要領について

2022.01.31

城南コベッツ都賀駅前教室です。

今日は新学習指導要領の数学編です。

まず、現行と改訂後の教科編成を見てみましょう。

旧課程→新課程(括弧内の数字は単位数)

数学Ⅰ (3)→数学Ⅰ (3)
数学Ⅱ (4)→数学Ⅱ (4)
数学Ⅲ (5)→数学Ⅲ (3)
数学A (2)→数学A (2)
数学B (2)→数学B (2)
数学活用 (2)→数学C (2)

数学活用が廃止され、代わりに数学C2012年度以来10年ぶりに再度新設されます。
数学活用の内容はそれぞれ数学A、B、Cに振り分けられたようです。

続いて、各科目で扱う内容を大まかに見ていきましょう。

数学Ⅰで取り扱う内容
 ① 数と式 ② 図形と計量 ③ 二次関数 ④ データの分析

数学Ⅱで取り扱う内容
 ① いろいろな式(三次の乗法公式、因数分解の公式、二項定理)
 ② 図形と方程式  ③ 指数関数・対数関数
 ④ 三角関数    ⑤ 微分・積分の考え 

数学Ⅲで取り扱う内容
 ① 極限    ② 微分法   ③ 積分法

数学Aで取り扱う内容
 ① 図形の性質   ② 場合の数と確率{期待値(平均値)}   
 ③ 数学と人間の活動(整数の約数や倍数、ユークリッドの互除法、二進法,平面や空間において点の位置を表す座標の考え方)

数学Bで取り扱う内容
 ① 数列   ② 統計的な推測(区間推定及び仮説検定)   
 ③ 数学と社会生活

数学Cで取り扱う内容
 ① ベクトル   ② 平面上の曲線と複素数平面   ③ 数学的な表現の工夫(工夫された統計グラフや離散グラフ、行列など)

現行の数学Bにおける「ベクトル」と数学Ⅲにおける平面上の曲線と複素数平面」が数学Cに移行となり、数学Cはそれ以外では「工夫された統計グラフや離散グラフ、行列などを取り扱う」とされています。(行列懐かしいですね!)

また、統計分野において、数学Bにおいて仮説検定を、その前の数学Ⅰにおいて「仮説検定の考え方」を新たに取り扱うようです。

仮説検定がそれぞれ数学ⅠとBで扱うことについては下記の様に記載されています。

『「データの分析」では,四分位数など(箱ひげ図を含む。)を中学校に移行して,「仮
説検定の考え方」を取り扱うこととした。仮説検定については「数学 B」の「統計的な
推測」で取り扱うが,この科目の履修だけで高等学校数学の履修を終える生徒もいるこ
とから,実際的な場面を考慮し,具体例を通して「仮説検定の考え方」を直観的に捉え
させるようにした。』(【数学編 理数編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 p11)

仮説検定とはどういうものか?ということについては下記の内容を参考に見てみましょう。

『一般に,仮説検定は次のような手順で行われる。
 1)ある事象 E が起こった状況や原因を推測し,仮説を立てる。
 2)その仮説を数学的に記述することで,統計的に実証したい仮説 H1(対立仮説)を立
て,その否定命題としての帰無仮説 H0 を考える。
 3)帰無仮説 H0 が真であると仮定した場合に事象 E が起こる確率 p を求める。
 4)実験などを行う前に決めておいた「滅多に起こらないと判断する基準(確率の値)」
(有意水準)と p とを比較して,帰無仮説 H0 が真であると考えることを否定できるか
どうかを判断し,仮説の妥当性を判断する。

指導に当たっては,生徒の特性等に応じて適切な具体例を取り上げ,仮説検定の方法を
理解できるようにすることが大切である。例えば,次のような場面を考える。

 あるコインにはどちらかの面が出やすくなるよう細工がされているという噂がある。
そこで,実際にそのコインを投げる実験を行ったところ,100 回投げて,表が 61 回出た。
このとき,このコインには細工がされていると主張してよいだろうか。』(【数学編 理数編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 p109)

『例えば,「ある新素材の枕を使用した 30 人のうち 80%にあたる 24 人が以前よりよく眠
れたと回答した」という結果に対して,新素材の枕を使用するとよく眠ることができると
判断できるか,という問題に取り組ませることを考える。
この問題を解決するために,この結果が偶然に起こりえた可能性はどのくらいあるのかを,コイン等を使った実験を多数回繰り返して考察する。』(【数学編 理数編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 p 48)


続いて、「現行学習指導要領の成果と課題」の内容に触れていきます。

『現行の学習指導要領により,PISA2015 では,数学的リテラシーの平均得点は国
際的に見ると高く,引き続き上位グループに位置しているなどの成果が見られるが,
学力の上位層の割合はトップレベルの国・地域よりも低い結果となっている。

~中学生は数学を学ぶ楽しさや,実社会との関連に対して肯定的な回答をする割合も改善が見られる一方で,いまだ諸外国と比べると低い状況にあるなど学習意欲面で課題がある
さらに,小学校と中学校の間で算数・数学の勉強に対する意識に差があり,小学校から中学校に移行すると,数学の学習に対し肯定的な回答をする生徒の割合が低下する傾向にある

さらに,全国学力・学習状況調査等の結果からは,
小学校では,「基準量,比較量,割合の関係を正しく捉えること」や「事柄が成り立つことを図形の性質に関連付けること」,
中学校では,「数学的な表現を用いた理由の説明」に課題が見られた。
また,高等学校では,「数学の学習に対する意欲が高くないこと」や「事象を式で数学的に表現したり論理的に説明したりすること」が課題として指摘されている。』

小学校での課題にある「基準量、比較量、割合の関係を正しく捉えること」の問題は、
例えば「2つのテープの長さの関係を表す式を答える」問題だったり、
事柄が成り立つことを図形の性質に関連付けること」は例えば「
図形(円など)を敷き詰めた周囲の長さはいくらになるか」といった問題です。
中学校の「数学的な表現を用いた理由の説明」は証明ですね。
高校での内容も概ね中学校と同じです。

実際、共通テストでも観察に関連付けた問題や、データに基づく統計問題、与えられた条件などを性質を利用して解く問題などが出題されていました。

これまで小学校、中学校で先にあった新学習指導要領の内容は、高校、大学で学ぶ内容へ向けてのもので、無関係ではありません。
今回の高校での変更内容は、高校に上がってからでの変化だけではなく、これから高校で学習する内容のために小学校、中学校で新たに増やされたりより深く取り扱われる内容もあります。
つまり、今小学校、中学校の生徒さんで苦手になっている分野は、新しく重視されて以降の学年でより深く扱われる内容だったり、課題として指摘されていて改善に努めるべき内容だったりするかもしれません。

今小学生や中学生でも、高校で扱われる内容については「こういうものがあるんだ」というくらいでも先に目を通して、いずれこういった内容が出てくるとなった時に戦えるように、今から今の弱点を克服することは重要です。